日本音楽界の至宝であり、
サザンオールスターズの
フロントマンとして
数々の名曲を世に
送り出してきた桑田佳祐さん。
常にパワフルにステージを
駆け回る彼ですが、2010年、
歌手生命どころか人生最大の危機に
直面していたことをご存知でしょうか。
病名は、「食道がん」
一歩間違えれば、あの唯一無二の歌声が
失われていたかもしれない過酷な闘病。
それを乗り越えられた背景には、
徹底した早期発見、声を残すために
全力を尽くした名医たちとの絆、
そして何より妻・原由子さんの
献身的な愛がありました。
ゲップの異変から始まった早期発見──内視鏡検査が救った命
2010年7月、桑田佳祐さんは
初期の食道がん
(扁平上皮がん・ステージ1)である
ことを公表し、日本中に衝撃が走りました。
食道がんの一般的な原因は
「お酒とタバコ」と言われていますが、
桑田さんはがん発覚の10年前には
すでに禁煙を達成していました。
そんな彼が異変に気づいたのは、
同年5月頃。
「最近、やたらとゲップが多く出るな……」
という小さな違和感でした。
桑田さんはこのサインを見逃さず、
本来なら翌年2月頃に受ける予定だった
定期健診を前倒しし、内視鏡検査を受診。
これが功を奏し、奇跡的な
「早期発見」へとつながったのです。
「まだ若いから」「大したことないから」
と後回しにしがちな体のSOS。
桑田さんのこの決断と
内視鏡検査の重要性は、
同じ世代を生きる多くの人々に
検診の大切さを伝える
強いメッセージとなりました。
「あっそうなんだ」──絶望の淵の桑田さんを救った原由子の明るさ
がんの告知を受けた際、さすがの
桑田さんも呆然自失となり、真っ先に
妻である原由子さんを呼んだといいます。
2年前の2008年には、
最愛の姉・えり子さんを
膵臓がんで亡くしたばかり。
「姉貴、迎えに来るのが
早すぎじゃないかな」という不安が
頭をよぎるほどの絶望の淵でした。
しかし、駆けつけた原さんは、
夫の深刻な状況を知ってもあえて
「あっそうなんだ」と、
普段通り明るく振る舞ったのです。
この努めて平静な、そして温かい一言が、
パニックになりかけていた桑田さんの心を
どれほど救ったか計り知れません。
原さんのサポートは
精神面だけにとどまりませんでした。
彼女の幼なじみの医師の紹介によって
信頼できる専門医と巡り合うことができ、
闘病生活に入ってからは、
薬の名前や飲むタイミングをすべて
完璧に把握して夫を全面的に支えました。
のちに桑田さんは自身のラジオ番組で、
「今後は原由子には頭が
上がらないでしょう」と、
人生最大の感謝を言葉にしています。
歌手の命を守れ!6〜10時間に及んだ医師団との絆と奇跡の手術
2010年8月2日、
運命の手術が行われました。
患部を切除し、胃を引き上げて
食道とつなぎ合わせるという、
6時間から10時間にも及ぶ大手術です。
この時、医師団が最も心血を
注いだのが
「歌手・桑田佳祐の
命である『喉(声帯)』を
決して傷つけないこと」でした。
声を失えば、
日本の音楽の宝が失われる──。
そんな凄まじいプレッシャーの中、
主治医たちは相当な手間と時間をかけ、
ミリ単位の慎重さで執刀しました。
ちなみに手術室では、
桑田さん本人の希望でBGMが
流されていたという、
彼らしいエピソードも残っています。
手術は医師団も「最良の出来栄え」と
太鼓判を押すほどの大成功。
術後、ICU(集中治療室)で
麻酔から覚めた桑田さんは、
すぐに声を出すことができたといいます。
プロフェッショナルとしての誇りを
持った医師団と、
彼らを信じた桑田さんの強い意志が
手繰り寄せた奇跡の瞬間でした。
わずか5ヶ月での紅白復帰、そして抱え続ける後遺症
驚くべきことに、
がん公表からわずか5ヶ月後。
2010年の大晦日
『第61回NHK紅白歌合戦』に
特別枠として出演し、
桑田さんは元気な姿でステージへと
帰ってきました。
全国民が見守る中、以前と変わらぬ、
深みを増した圧倒的な歌声を
響かせた復活劇は、
多くの病と闘う人々に
生きる希望を与えました。
しかし、完全復活を遂げたように
見える裏で、現在も
手術の後遺症との戦いは続いています。
食道と胃をつなぎ合わせた影響で、
桑田さんは「逆流性食道炎」の
症状を抱えています。
胃酸が喉に逆流して声帯を傷つけないよう、
ここ数年は就寝時、
リクライニング・チェアを使って
頭の位置を高くした状態で眠っている
ことを本人の口から明かしています。
おわりに:夫婦で奏で続ける希望のメロディ
あの誰もが愛する歌声は、
決して当たり前にそこにある
わけではありません。
桑田さんの小さな異変に気づく力、
声を残すために全力を尽くした
医師団の執念、
そして何より、絶望の瞬間を笑顔で救い、
二人三脚で病魔に立ち向かった
妻・原由子さんの深い愛情。
そのすべてが揃ったからこそ、
私たちは今もサザンオールスターズの
音楽を聴くことができています。
リクライニング・チェアで夜を
過ごしながらも、ひとたび
ステージに立てば
極上のエンターテインメントを
届けてくれる桑田佳祐さん。
彼の歌声に宿る優しさと力強さは、
死線をくぐり抜け、
周囲への感謝を忘れない、
彼自身の生き様そのものなのです!


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